会長就任にあたってのご挨拶
平成19年度より、三重県精神保健福祉協議会会長を岡崎祐士前会長から引き継ぎました岡田元宏です。近年の社会環境の大きな変化に巻き込まれた形で、精神保健福祉が取り組むべき課題も年々多くなり、社会からの期待も大きくなっていると思います。
各都道府県に精神保健福祉協議会が設立された当初は、統合失調症を中心とした精神疾患に罹患された方々とその家族を含めた関係する方々への保健福祉の重要性を社会に啓発することが最も重要な役割の一つであったと理解しております。近年は、うつ病を中心とした感情障がいの方々の社会復帰(復職支援)と、自殺対策基本法(平成18年10月28日施行)、自殺総合対策大綱(平成19年6月8日策定)に代表される、自殺に関わる感情障がい(自殺の原因としてのうつ病)への対策の必要性が重視され始めています。また、ガン等の死に至る体の病を患う方々の心の健康への配慮の重要性も認知されてきました。
これら全ての問題は、医療・患者と家族だけでは改善することは不可能であり、社会全般の皆様の理解とご協力により、一歩一歩と向上が得られるものではないかと考えています。元来、人として誰もが“心の健康”を得る権利を有しているはずですが、この平等性は保たれておらず、近年はこの権利の恩恵にあずかれない方々が増加しているという残念な状況に陥っています。そして、心の健康を喪失した方々の苦しみは、残念ながら心の健康を喪失したことがない人から真の理解を得る事が難しいことも事実です。近代教育学の祖、ルソーの『エミール』の中で、ヒトを傷つける悪行を理解できない子供が、ヒトから傷つけられて初めて自己の行いを改める事が出来たエピソードがあります。しかし、私たちの多くは、傷つけられることなくヒトを傷つけない道徳観を共有しています。三重県精神保健福祉協議会は心の病で苦しんでいる方々への、基本的な配慮・共感・受容的な姿勢の必要性について皆様の理解を深める事が出来るような啓発活動によって、三重県の心の健康の向上に寄与したいと考えています。
三重県精神保健福祉協議会は、県内のこころの問題の保健と福祉に関係する諸団体と主旨に賛同する個人・賛助会員がつくる協議会です。こころの健康・福祉に関する知識や情報をニュースや講演会などを通じて普及し、県民の皆様の御理解・御支援・御参加を頂くよう活動しております。今後とも、よろしく御協力をお願いし、挨拶に代えさせていただきます。
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